自省の能力 中江兆民

 江戸時代の晩期に生を得た中江兆民は、
明治時代になってから、フランスへ留学
します。
 フランスで自由・平等・博愛・・を学
んだ後に帰国すると、藩閥政治に憤り、
自由民権運動に身を投じます。

 その渦中で著したのが、『三酔人経綸
問答』です。
 自由を軍隊とし、艦隊とし、平等を要
塞にし、博愛を剣とし、大砲とするなら
ば、敵するものが天下にありましょうか。
 このように、「国防はヤボの骨頂」と断
言します。

 紆余曲折を経た中江兆民は、癌に罹り、
余命一年半を宣告されます。
 そこで著したのが、『一年有半』です。
 限りある生を限りない死後に比較すれ
ば、短いどころではない。はじめから無
なのだ。もし、することがあって楽しむ
なら、一年半はまさしく利用するのに十
分ではないか。

 さらに、『続一年有半』も著します。
 その最後に述べているのが、自省の能
力についてです。
 犯罪と刑罰がつりあうのを重要視する
ようなのは、もっとも間違った見解とい
わねばならぬ。虫の食っている旧思想と
いわねばならぬ。死刑を廃止しようとの
傾向がまさに盛んな今日にあって、復讐
的刑法を基準として哲学の一説となすな
どは、もっとも謬戻といわねばならぬ。

 中江兆民 1901年12月13日 永眠
      享年 五十五

 nakae cyoumin syashin
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   引用『日本の名著 36 中江兆民』
        責任編集 河野健二
        中央公論社

     前回の問題 解答
 101×101の積10201のような数は、回文
数と呼ばれます。
 

      今日の問題 
 中江兆民は、『一年有半』でどのよう
な理想を提示しているでしょう。
    

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