ラフカディオ・ハーン作『十六ざくら』
の一節です。
とうとう、老人の心に、すばらしい考
えが浮かんできた。老人は、枯れている
その木がひょっとしたら助かり得るかも
しれない、一つの方法を、ついに思いつ
いたのである。
(その日が、正月の十六日だったので
ある。)
< 中 略 >
老人は、その木の下に白い布をひろげ、
幾枚もの敷物をしいた。そして、その敷
物の上に正座し、侍の方式にしたがって、
「はらきり」をおこなった。それで、老人
の魂魄は木の中にのりうつり、即刻、そ
の木に花を咲かせた。
両親も、祖父母も、祖先が皆、ともに
暮らしてきた桜を、自分の代で枯らして
しまうわけにはいきません。
しかも、こども達全員に先立たれた老
人にとって、次の世代に残せるものとい
ったら、家の桜の木しかありません。
そこで、自らの命と引き替えに、桜の
再生を願ったのです。 <つづく>
死して桜を残す 第四回
死して桜を残す 第三回
死して桜を残す 第二回
死して桜を残す 第一回
前回の問題 解答
鰹節を作るには、カツオブシカビが関
わっています。
今日の問題
ラフカディオ・ハーンの日本名は、何
でしょう。
夢を実現する学習塾 開 進 学 園
ホームページ