戦争と天皇 坂口安吾

 『白痴』や『桜の森の満開の下』などを
執筆した坂口安吾の作品の中に、
『戦争論』もあります。
 終戦後間もない日本の有り様を憂いて
書かれた作品です。
      『戦争論』
  『坂口安吾 全集 第七巻』
  筑摩書房
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 今日に於いては、人々は軍服をぬぎながら、
そして、武器を放しながら、庶民的習性に
帰るよりも、むしろ多くの軍人的習性をのこし、
民主主義的な形態の上に軍国調や好戦癖を
漂わしているのである。
 先ず第一に、天皇に対する人間的限界を
超えた神格的崇拝の復活である。
 天皇制というものを軍人が利用して、日本は
今日の悲劇をまねいた。その失敗から、たった
三年にして、性こりもなく、再び愚をくりかえそうと
するとは! 
 無策の故に、天皇制を利することは、あまりにも
無責任、無智、無謀と云わねばならぬ。
 各人の自由と責任が確立すれば、戦争などは、
この世から当然なくなる性質のものである。
 宗教も、言論も、自由でなければならぬ。排他的、
禁止弾圧の精神は、暴力に異ならず、すでに戦争の
精神である。
 もはや、戦争をやってはならぬ。断々乎として、
否、絶対に、もはや、戦争はやるべきではない。
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 坂口安吾 1955年2月17日 永眠
        享年 48
 

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 「黄金比」です。
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 坂口安吾・作 『道鏡』の書き出しは,
何でしょう。
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