『この照る月は』 10月の開進学園だより

 「十五夜・中秋の名月」は、現代では季節の大切な行
事の一つになっていますが、古代ではどうだったので
しょうか。
 『万葉集』を繙いて、探ってみます。

 『万葉集 巻第七』の「雑歌」の中で、自然を対象に
した十三種のうち、「月を詠む」は一番多く約32%を占
めています。
 ただし、「三日月」や「満月」のような特定の月を扱っ
た歌はありません。

 『万葉集 巻第七』の中で、「秋の雑歌」は十九種あ
ります。
 「七夕」が九十八首で最も多く、「黄葉を詠む」四十一
首・・・と続きます。
 「月を詠む」は、七首・約3%に過ぎません。

 満月(望月・十五日月・もち・・・)が入る歌は、『万葉
集』に七首収められています。
 そのいずれも、満月そのものを詠んだというより、
喩えとして使われています。

 「十五夜・中秋の名月」を詠んだ歌を、『万葉集』に
見い出すことは、かないませんでした。

 『万葉集』が成立するのは、八世紀の中ごろ(諸説
あり)。
 「中秋の宴」や「十五夜」などの宮廷儀式が登場する
のは、八世紀の末以降。

 「十五夜・中秋の名月」の風習が世間に広まるまでに
は、『万葉集』以降に長い年月を要したようです。

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       前回の問題 解答
 「小望月・幾望」は、十四日目(太陰太陽暦)の月で
す。

  
        今日の問題 
 『万葉集』に出てくる「初月」は、何と読むでしょ
う。

 
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