『感染症の世界史』

 『感染症の世界史』より、「第八章 世界で
増殖するインフルエンザ」のごく一部を、抜
粋します。
  石弘之 著 洋泉社 2014年 初版発行

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 1918年3月4日に基地内の診療所に、発熱や
頭痛を訴える兵士が殺到した。
 1000人以上が感染し48人が死亡したが、通
常の肺炎として片づけられた。
 発病した兵士は、豚舎の清掃当番だった。
 この一帯はカナダガンの大群が飛来する越
冬地としても知られる。

 『流行性感冒ー「スペインかぜ」大流行の記
録』によると、一回目の流行では、死亡者数
25万7363人、<中略> 二回目の流行では、
死亡者数12万7666人、患者の死亡率は5.29%
に上がった。
 当時の日本の人口は5666万人であり、一
回目の流行だけでも人口の37.3%が感染した
ことになる。

 当時の世界人口は約18億人だが、少なくと
もその半数から三分の一が感染し、死亡率は
地域によって10~20%になり、世界人口の3~
5%が死亡したと推定される。

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 2009年に入っても、恐れていた大流行は起
きなかった。<中略>
 ところが、四月に別の遺伝子の変異を持った
「豚インフルエンザ」が、新たにメキシコの三ヶ
所と米国の二ヶ所で局地的な発生が確認された。
 感染者の多くは、二十歳以下の若者だった。
 その後、短時間で全世界に拡大した。

 米国疾病予防管理センターがまとめた2012年
6月の報告書では、世界199の国・地域で、感染
者は推定約6100万人、死者は約1万8000人をそ
れぞれ超えた。
 日本では原因が確定できない人も含めて死亡
者は203人だった。

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  鶏は、遺伝子組み換えトウモロコシのエサを
与えられ、むりやり太らされる。
 40~60日間飼われるとベルトコンベヤーで運
ばれ、機械で自動的に食肉処理される。
 以前は80日程度かかっていたのが、成長促進
の薬剤投与でこれだけ短縮された。
 ファストフード用やスーパーの安いブロイラ
ーは、もはや大量生産でコストを競う「工業製品」
である。

 豚の飼育現場も鶏と変わらない。
 豚も世界で約八億頭が飼われ、その60%までが
中国産だ。
 最初にメキシコで出現した「豚(新亜型)インフ
ルエンザ」は、進出してきた米国の大手養豚会社
が経営する巨大養豚場が、発生源だったとみら
れている。
感染症の世界史
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 

 

 

 

 

     前回の問題 解答
 「上の人」という異名を持つ動物は、ネズミ
です。

      今日の問題 
 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義
の精神』などの著作を残し、スペインかぜに
罹って亡くなった学者は、誰でしょう。

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