『感染症は世界史を動かす』より、「第六
章 新型インフルエンザの脅威」のごく一部を、
抜粋します。
岡田晴恵 著 筑摩書房 2006年初版発行
新型インフルエンザが出現し始めたら、ど
のような事態が起きるだろうか。
多数の重傷患者は治療を求めて、病院へ向
かうだろう。
救急車を呼ぼうとしても、殺到する要請に
応えるものではない。
その前に救急隊員が寝込んで、そもそも救
急車自体が動けないかもしれない。
なんとか病院に辿り着いても、病院の入り
口には患者が溢れ、そこは一大インフルエン
ザ伝播地域となっていることだろう。
次は流通の問題が起こってくる。
感染者がさらに増加し、患者が街中に溢れ
出すと、仕事の欠勤者が続出する。<中略>
物流が止まれば、食糧の供給もきかなくな
る。
そして、報道。
不安と恐怖に苛まされる人々を支えるのは、
正確な情報と、それへの信頼である。
報道体制の確保は、精神の命綱である。
現代の疫病、特に新型インフルエンザ大流
行の重要なポイントは、地球全体で同時に起
こるということである。
したがって、地震や災害とは異なり、他地
域からの支援や援助は望めない。
新型インフルエンザ来襲時には、その緊急
性から自国は自国で対応する以外にない。
自分の地域は自分たちで守るしかなくなる
のが現実であろう。
新型インフルエンザ問題は、まさに人類の
存亡にもかかわる地球レベルでの危機管理問
題である。
前回の問題 解答
『プロテスタンティズムの倫理と資本主義
の精神』などの著作を残し、スペインかぜに
罹って亡くなった学者は、マックス・ウェー
バーです。
今日の問題
「影響」を意味するイタリア語「インフルエ
ンツァ」を基に名付けられた病名は、何でし
ょう。
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