カテゴリー別アーカイブ: 本に囲まれて

元寇と「神風」

 元寇について、教科書には次のように
記されています。
     文永の役 
  内紛や暴風雨ために引きあげました。
     弘安の役
  ふたたび暴風雨にあって大損害を受け、
  引きあげました。
 自然現象が二度とも、
元側にのみ打撃を与え、
日本側には打撃を与えなかったような
書き方です。
 このような通説に対し、様々な資料を
駆使して、元寇の真相に迫ったのが、
次の作品です。
   

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     『 蒙古襲来 』
   服部英雄 著  山川出版社
 文永の役が起きたのは、現行の太陽暦で
11月26日。11月の下旬に、九州北部を台風が
襲った記録はない。
 夜中に風が吹いたので到着した翌朝に
帰ったという記述は、どの史書にもない。
 弘安の役が起きたのは、現行の太陽暦で
8月23日。この日、大型台風が、九州地方、
中国地方、近畿地方を次々と襲った。、
 元側の資料は、台風の被害が誇張されて
いる。勝利を得ずして帰還した口実にされた。
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 大型台風は、元軍にも、日本軍にも、襲い
かかりました。それ以上に、日本の広い地域に
甚大な被害をもたらしました。
 元との戦闘の観点からのみ、この大型台風を
評価すると、とんでもないことになります。
 元寇をくい止めたのは、「神風」のおかげ。
 元寇をくい止めたのは、日本が「神国」だから。
 1941年12月8日の太平洋戦争開始にも繋がる、
このような史観が底流となったままでは、
二度三度戦争が起きかねません。


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 「柿が赤くなると、医者が青くなる」です。
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 『 蒙古襲来 』によれば、元寇の目的は
何でしょう。
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中島敦 私は蚕

 中国の歴史と風土の中から出現したかのような
『山月記』 『弟子』 『李陵』 等々の作品。
 漢文塾を開いていた祖父や、漢文の教師
(旧制銚子中学など)をしていた父の下、
漢文という産湯に浸かり、育ったならではの
格調高い作品。
 これらの作品が誕生したのは、戦局が厳しく
なったころです。
 1942年 2月  『山月記』 発表
        6月  『弟子』 脱稿
        7月  『光と風と夢』 刊行
       10月  『李陵』 脱稿
       12月4日 死去
   中島敦  享年 三十三
中島敦の文学に対する思いを、 『光と風と夢』
から次に抜き書きします。

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 病気が行為への希求を絶って以来、人生とは、
私にとって、文学でしかなくなった。
 文学を創ること。それは、歓びでもなく苦しみでも
なく、それは、それより言いようのないものである。
したがって、私の生活は幸福でも不幸でもなかった。
 私は蚕であった。蚕が、みずからの幸、不幸に
かかわらず、繭を結ばずにいられないように、私は、
言葉の糸をもって物語の繭を結んだだけのことだ。
          『日本の文学 36 』  中央公論社
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 「メロン」です。
 赤肉メロン クインシーメロン ・・・
 白肉メロン ホームランメロン ・・・
 青肉メロン アンデスメロン ・・・
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 中島敦は、 『光と風と夢』の中で、夜明けを
どのような色と表現しているでしょう。
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うつし世は

  開進学園叢書・歌集 『 香る代に 』 から、
十一月に因む短歌を三首紹介します。
 
   うつし世はさびしからずや紅葉なる
    山肌にふれ秋をしのびつ
   目に見えぬ時は過ぎゆく落葉して
    秋たけにける今日もひそけく
 
   生きぬべき道何れぞと迷いたる
    今朝も静かに霜は消えゆく

 写真は、晩秋の大川渓谷です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
    starblue 前回の問題 解答 starblue
 「小学校就学前の子どもの声は、
規制する音から除外する」です。
 

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  極みなき大海原に出でにけり
   やらばや小舟波のまにまに
などの短歌を残し、1896年11月23日に
亡くなったのは、誰でしょう。
 

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青森の冬と麻布

 青森は、大飢饉に何度も見舞われるほど、
気候は過酷でした。
 江戸時代に入って、他の地方で木綿が採れる
ようになっても、青森では採れません。
 縄文時代から続く麻布に、頼るしかありません。
 青森の冬と麻布を中心に、東北地方の古布に
ついてまとめた本があります。
    『 みちのくの古布の世界 』
      田中忠三郎 編著
      河出書房新社

 この本の一部を、次に紹介します。

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 青森の集落では「村八分」の制裁があった。
 「二分」の火事と葬式だけは手伝うが、後は
かまわないという掟である。
 その中で一番つらい制裁は、麻畑を荒らされる
ことであったという。
 雪国に住む者にとって、衣服は欠かせない
ものであり、その材料の麻が手に入らなくなる
ことは、実に深刻な問題であった。
 麻はまた、漁網や釣り糸に加工したり、紐や
縄にもした。
 麻は生活の必需品であり、その意味は
大きかった。

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   < 11月のわくわく学習会 >
 と き  11月14日(土) 14時~15時
 ところ  開進学園
 テーマ  麻とともに歩んできた道
 参加費 100円
 連絡先  電話  043-273-6613
       メール wakuwaku@kaishin.jp.net


    starblue 前回の問題 解答 starblue
「雷無月」「初霜月」「時雨月」「小春」他。
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 青森に残る、麻の種まきを人にまかせられない
ことを表す言い伝えは、何でしょう。
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野口英世

 1976年11月9日、野口英世は会津の地に
生を受けました。
 同じ会津に生まれた北篤さんが、執筆された
野口英世の伝記を、開進学園に寄贈して下さい
ました。
 『 正伝 野口英世』
  北 篤 著
  毎日新聞社

 著作の一部を、以下に紹介します。
 
 初めて男の子を授かり、この子こそ昔の
野口家にしてくれよう。祖先からの「清太郎」の
清に、よく耕作するため作をそえ、「清作」
(博士の幼名)という名をつけた。
 その醜さと、異様な変形に、シカは思わず
目をとじてしまった。 <中略>
 こんな手になっては、どうしたらいいやら、
百姓はできない。忙しさにかまけて、注意が
まわらなかったばかりに・・・。親の責任を感じ、
悲壮な決意をする。
 体操は免除され、やがて悪童がその理由を
知る。そばにやってきて、ー お前の手は
すりこぎだ! とはやしたてるのだ。
 清作は次第に学校が嫌になり、小学校
三年頃から、反発を示すようになった。
登校拒否である。
 清作が十二歳頃から、第一位の成績に
出る。
 清作は級長を命じられ、さらに翌年は
「生長」に任じられた。教師の足りない時代で、
生長は助教役であり、手当を支給された。
 シカは十年余の心の重荷に、初めて安らぎと、
希望を見いだすのである。


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 交換神経   濃く粘性がある唾液の分泌を促進
 副交換神経 薄く大量の唾液の分泌を促進
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 1888年7月15日、十三歳の野口英世が
体験したのは、何でしょうか。
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人の話より ネット情報が

 インターネットに接続された社会は、以前より、
はるかに便利で豊かになりました。
 ただし、あらゆる文明の利器が、鈍器にも、
凶器にも、兵器にもなるように、インターネットに
接続された社会は、二面性があります。
 良くなる面と、悪くなるかもしれない面と。
 なによりも不安なのは、
ネット情報を信じて、人の話を信じない
社会です。
 前回のブログ『 運航停止 ウェブ情報の
盲点』で述べたように、ブジュンブラ空港での
体験は、日本の航空券販売会社に信じて
もらえませんでした。
 エア・ウガンダが全路線の運航を停止する
との情報をインターネット上に流さないのは、
ひど過ぎます。
 さらにさみしかったのは、「日本で受信する
エア・ウガンダのホームページに変更がない」
との理由で、飛行機に乗れなかった実体験を
聞いてもらえなかったことです。
 
 一個人の話より、航空会社の公式ホーム
ページが信頼できるのでしょう。
 公式ホームページに、疑念が入り込む
素地はないのでしょう。
<ホームページ上の情報は、公的で正しい>
<個人が話す情報は、私的であいまい>

 このような見方が強まれば、
一人一人の存在感は薄らぐばかりです。
 1997年、インターネットの隆盛に警鐘を
鳴らす本が、翻訳されて出版されました。
 『 インターネットはからっぽの洞窟 』
     クリストフォード・ストール 著
     倉骨 彰 訳
     草思社
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 コンピューターネットワークは、車やテレビと
同じで、人間にとって最も魅惑的な自由、
「何かに近づける自由」を提供してくれる。
 しかし、入力をしつこく強要する僕の
コンピューターから一歩引いて考えてみると、
「何かから遠ざかる自由」があってもいいの
ではないかとも、僕は考えている。
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   starblue 前回の問題 解答 starblue
 「タンガニーカ湖」です。

 
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 邦題 『 インターネットはからっぽの洞窟 』
の、原題は何でしょう。

 
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あかね色

 開進学園叢書・歌集 『 香る代に 』 から、
十月に因む短歌を三首紹介します。
 若き日のごとく燃えたる炎なり
   疲れもしらず夢多くして

    平成二年十月七日 七首より一首
 君が心君が面影しのびつつ
   今日も生きんと心に誓う

    平成二年十月十五日 八首より一首
 夕暮れのあかね色なる雲遠く
   昨日を思いて頬をそめたり 
 


 写真は、チリ上空の飛行機内から撮った、
夕陽が太平洋に沈んだ後の雲です。

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 <虹>です。
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 「君が心」にかかる枕詞は、何でしょう。
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