〈 古代・鼠ヶ関と近世・念珠関 〉本州の海岸線一周 その45

 古代・鼠ヶ関は、平安勢力と東北日本の非平安勢力との境界、現在の山形県と新潟県の県境に、設けられました。
 平安勢力は、東北日本の非平安勢力を、「蝦夷」と蔑称し、「鼠」と揶揄していました。
 そこから、両勢力の境界に当たる関所を、「鼠ヶ関」と呼んだようです。

 近世に到り、東北日本がすべて幕府の勢力下に入り、「蝦夷」という蔑称も、「鼠」という揶揄も、使われる機会は激減します。
 そこで、「鼠ヶ関」という呼称に代わり、「念珠関」という呼称が用いられるようになります。
 海岸に立ち並ぶ小島群が、「念珠」のように見えたからだそうです。

 古代・鼠ヶ関にしても、近世・念珠関にしても、読みは「ねず」で同じです。
 「ね」は、十二支で北を示す「子」です。
 「ず」は、湊を表わす「津」です。

 古代・鼠ヶ関と近世・念珠関は、勿来の関や白河の関と並ぶ奥州三関の一つであり、三関の中で最北の地でした。
 また、京都から平泉を目指した源義経一行は、近世・念珠関近くの湊から上陸し、近世・念珠関で検問を受けました。
 その際に繰り広げられたのが、「勧進帳」の名場面です。
 現代では歌舞伎の影響により「勧進帳=安宅の関」が通説になっていますが、近世・念珠関の関址には「勧進帳の本家」との大看板が立っています。

山形県 鼠ヶ関 関所址

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      前回の問題 解答
 『龍ばあちゃんのひとりごと』中の墨筆の一節で、◯◯に入る漢字二字は「教師」です。
   障害をもった息子から
   苦しいこと
   悲しいこと
   うれしいこと
   すべて息子は
   私の人生の◯◯だった 
  
 

      今日の問題  
 『義経記』によれば、源義経一行を検問した念珠関の関守は、源頼朝方とされています。
 一方、地元の伝承によれば、源義経一行を検問した念珠関の関守は、何方とされているでしょう。
       

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