ぬしなき宿となりぬとも 源実朝

 もし父の源頼朝と兄の源頼家が、それ
ぞれ長寿で征夷大将軍職を全うしていた
ら、源実朝は歌人として有意義な人生を
送れたかもしれません。

 しかし、源頼朝は、鎌倉幕府の体制を
盤石にする前に急死。
 源頼家は、御家人同士の権力争いの渦
中で惨殺。
 源実朝は、13歳(数え年)で征夷大将軍
になります。

 北条氏が覇権を握ろうとする政局に心
労を重ね、病気に苦しみながらも、自然
や人生を詠い上げます。

 この寝ぬる朝明けの風にかをるなり
  軒端の梅の春の初花

 今日もまたひとりながめて暮れにけり
  頼めぬ宿の庭の白雪

 ひとり臥す草の枕の露のうへに
  知らぬ野原の月を見るかな

 鎌倉時代の初期、幕府・武家と朝廷・公
家による二重支配が、続いていました。
 その中にあって、源実朝は公武合体を
構想していた可能性があります。
 『新古今和歌集』の編纂を推進する後
鳥羽上皇への思慕も含めて。

 山は裂け海は浅せなむ世なりとも
  君にふた心わがあらめやも

 北条氏は、幕府権力を掌握した後、二
重支配を脱して全国を支配下に置こうと
します。
 北条氏の動きに対抗して、後鳥羽上皇
は鎌倉幕府の崩壊を目論見ます。
 両者の間に立つ源実朝は、切り捨てら
れる運命を悟り、心境を歌に託します。

 出でて去なばぬしなき宿となりぬとも
  軒端の梅よ春を忘るな

 源実朝 正月二十七日(太陰太陽暦・
     2018年3月14日) 永眠
     享年 二十八

minamoto sanetomo
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
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 飯盛山の北西側の麓では、三月から四
月にかけて、カタクリの花が見頃になり
ます。

 
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 源実朝の歌を集めた歌集は何でしょう。
 

 
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